第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「夫たる者よ。汝、健やかなる時も、病める時も、常にこの者を愛し……」
ローのお陰でものの数秒でたどり着いたユーリは、神父の前に降ろされた。
そしてさっそく始まった式に、ユーリは頭が真っ白になりあまり言葉が入ってこなかった。
「…慈しみ、守り、助け、この世より召されるまで固く節操を保つ事を誓いますか」
「あぁ」
ユーリがグルグルと考えていると何時の間にかローが返事をしていた。
(あぁってなんだ?あぁって言うのが返事なのか!?誓いますじゃなくて?私もそう言ったがいいの!?)
普通に考えたら誓いますなのだが、混乱を極めているユーリは何が本当なのか分からなかった。
確かにローが誓いますなんて言う性格ではないのは分かるが、ユーリのお手本になるのだからそこはちゃんとして欲しかった。
「妻たる者よ。汝、健やかなる時も、病める時も、常にこの者に従い、共に歩み、助け、固く節操を保つ事を誓いますか」
「………ちゃッ……誓います」
『あぁ』か『誓います』の究極の2択に迫られていたユーリは辛うじて正解のほうを選んだ。
だがしかしギリギリまで迷っていたせいで思いっきり噛んでしまった。
隣でローの肩が揺れたような気がした。
(うあぁぁぁぁ!?もう駄目だ最初からやり直してくれーー!)
「では、指輪の交換を」
ユーリの後悔する心の叫び声と、ローが笑うのを抑える葛藤が渦巻く中、神父だけは普通に進めていた。
「…ほら、手を出せ」
ローは顔がにやけていたが何とか普通に戻ると、ユーリの手を取り指輪をはめた。
そしてユーリもこの世の終わりのような表情だったが、何とかローの手を取り指輪をはめた。
暫くプルプルと指が震えて、はめるまで時間が掛かってしまったが。