第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
扉の先には、美しい海が広がっていた。
(わぁ……凄い…)
ユーリはローと手を重ね合わせて、目の前に広がる海へ向かって歩き始めた。
扉から続いている白い道を辿れば神父がこちらを見ており、さらにその奥にはガラス張りのお陰で海が一望でき、本当に美しかった。
左右には参列者の為のイスがあり、綺麗な花が飾ってあった。
また側面も半分以上がガラスで出来ているので、庭にある木々や花々がその美しい姿を見せていた。
天井のシャンデリアもキラキラと輝いており、今日が晴天なのもあってか海もキラキラ輝いていた。
ユーリは感動に打ちひしがれながら歩いていた。……歩いていたのだが
「…………おい、もう少し普通に歩けないのか?全然進んでねぇぞ」
ローはユーリに視線を送った。
「……」
ユーリは確かに歩いていた……カメのようにゆっくりと。
ドレスの裾を踏むのが怖いのか、ただ緊張しているのか分からないが、彼女の足はミリ単位でしか動いてなかった。
「チョットムリデス」
ギギギっと錆びた音でもしそうな感じで首を動かしローを見たユーリは、完全に緊張しているのか青ざめていた。
最早今から結婚する奴の顔じゃねぇだろとローは笑いそうになったが、なんとか抑えた。
「……」
そんなローの葛藤を知るわけもないユーリは再びギギギっと正面に視線を向けると、神父がこちらを見ていた。
終始笑顔の神父様だったが、早くこっちに来んかと笑顔が全てを語っていた。
背後に禍々しいオーラを感じたユーリは軽く飛び上がると、慌てて大きく一歩を踏み出した。
「…あっ」
そして丁寧に設置されたフラグは綺麗に回収され、ユーリはドレスの裾を踏んで前方に倒れた。
「……ほんと期待を裏切らねぇな」
設置されたフラグを鮮やかに回収したローは、ユーリをそのまま抱え上げるとスタスタと歩いて行った。
突然のお姫様抱っこにユーリは恥ずかしくて悲鳴を上げそうになったが、場所が場所なだけあってなんとか耐えた。