第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「ねぇ、本当にペアで撮らせてくれる気はないの?」
ユーリとこの世界にきてもう少しで1か月が経とうとしていた。
ローは気が向けばモデルという仕事を受けていたのだが、最初に受けた時から言われ続けている言葉にうんざりしていた。
何が楽しくて他の女と絡まないといけないのか。別に1人でも十分稼げるようなので、わざわざ受けるはずがないのに目の前の男も中々しつこかった。
「何度も言ってるだろ。面倒だから他をあたれ」
「だって相手は超人気モデルだよ?絶対気に入るって!」
「…はぁ、言ってなかったかもしれないが、おれには恋人がいる。だから他をあたれ」
「え!?そうなの!?」
ローの髪をセットしていた男は思わず手を止めた。
今まで彼からまったくその手の話を聞かなかったので勝手にフリーだと思っていたが、どうやら違うらしい。
まぁこんだけイケメンなら彼女の2人や3人いてもおかしくないが、更に話を聞くと彼女のアパートで一緒に暮らしているときた。
逆なら分かるが、彼ほどの人物が彼女の部屋に居座っているのか?
自分のアパートはないのかと聞けば、そんなものは必要ないと言ってきた。
それじゃ女の人連れ込めないじゃんと言うと、彼から呆れたようなため息が聞こえて来た。
恋人がいるのにそんなことするはずがないと言ってくる彼に、
これではまるで自分がどうしようもない人間じゃないかと男は苦笑するしかなかった。