第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「この街は、私たちが出会った街でもあるので、復興のお手伝いをしたいんです」
「……だが、珀鉛が街を汚染してるんだぞ。そんな場所に生身の人間が行けばどうなるか分かってるのか?」
あの後フレバンスがどうなったか知らないが、珀鉛に侵されたまま放置されているのは分かっていた。
復興すると言っても一度掘り起こされた珀鉛はどうすることもできない。
あの街に思い出があるのは確かだが、ユーリをそんな危険な場所に連れて行くわけにはいかなかった。
「私の能力、覚えてますよね?」
ローの考えを読んだようにユーリは言葉を発した。
そしてローはユーリの言葉にある可能性に辿り着いてしまった。
「……おまえ、まさか…?」
ユーリの能力は再生だ。復興を手伝うと言っても、彼女の力ならそう時間は掛からずに終わるだろう。
だが、再生といっても珀鉛まで消せるのだろうか?そもそも近づくだけでも危険な場所なのに、触れ回って再生させるなどローがさせるわけがない。
次第に険しくなっていくローの表情に、ユーリは苦笑した。
「ローの心配は分かっています。だから私も考えました」
ユーリはちゃっかり自分の能力について研究していた。
そして何時の間にか覚醒の域まで達していた。
そのお陰で例え触れなくても指定したものを己の意思で再生できるし、己が害と見なすものを取り除くこともできるようになった。
元々の再生の力はただの巻き戻しだったのだが、覚醒することにより更に上位の力を使えるようになったのだ。
ただしそれも一回だけだが。
更に言うなら一つの街を再生させるほどの力を使えば身体への負担は半端ない。
下手をすれば能力の半分を失い使えなくなる可能性もある。
過去にこの能力を使っていた人物についても調べていた彼女は、その事実にもたどり着いたがローには取り合えず黙っておいた。
別に死ぬわけではないし、これ以上彼を心配させたくはなかったのだ。
「……」
ユーリの話にローは唖然として暫く考え込んでいた。
あれだけ重症を負っていたにも掛からわず何時の間に己の能力を研究していたのか。
その内戦闘に参加してきそうだと心配していたが、あながちその考えは間違ってなかったことにローはため息を吐いた。