第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「どこか行きたい場所はあるか?」
そしてここ最近何度も尋ねてきたその言葉を、もう一度ユーリに伝えた。
特に拘りのないローはユーリの行きたい場所、住みたい場所を優先させたいと思っていたのだ。
といってもユーリにも特に拘りはなさそうだったが。
「うーん…行きたい場所…」
ユーリはグラスに口づけながら、暫く考え込んでいた。
ローからここ最近同じことを聞かれていて、特にないと回答していたのだが、今回は少し違った。
「……実は…」
ユーリは暫く考え込むと、意を決したように1か月前の新聞を持ってきた。
そしてその中の小さな記事を指さした。
ーーー滅んだ国フレバンスの復興再開?---
十数年ぶりに世間の話題になっている懐かしい名前に、思わずローは目を見張った。
詳しく読んでみると、珀鉛病は人にはうつらない、彼らにしたことは決して許されることではない。せめてもの償いに荒れ果てたフレバンスを人が住めるように復興させよう。
そんな事が書いてあった。
十数年経って漸く世間が認め始めた真実。そして善意のあるものが始めた復興活動。
まだ人はそんなに集まっていないのか、最後の方にはボランティア募集とまで書いてあった。
そして政府は珀鉛のことを黙認していただけあって、この復興活動には特に口出すことはないだろうとも書いてある。
ローは暫くその記事を読んでいた。