第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
「あ、因みにそれは一度付けたら外せないから」
ローがつけ終わったのを見計らったように、ユーリが不穏な言葉を発した。
一瞬動きを止めたローだが、既に首に付けられたネックレスは外せる気配もない。
思わずユーリを見た。
「え…えっと、それは持ち主が危険な目にあった時、送り主に知らせるもので」
「……はぁ?」
ユーリの言葉を一瞬理解できず固まっていたローだが、思わず声を上げてしまった。
なんの偶然か知らないが、二人とも同じものを用意していたのだ。
ローは咄嗟にネックレスを引き千切ろうとしたがびくともしない。
折角ユーリの危険を回避するために送ったのに、これではローが危険な時にすっ飛んできてしまう。
まったく本末転倒ではないか。
そういえばラミアが同じものを欲しがっている人物がいたと言っていたが、まさかこいつじゃないだろうな。
思わずローは頭を抱えた。
「まったく、なんて物騒な物を送るんだね」
ユーリは自分の首に付けられたネックレスを触りながら、しれっとそんなことを言ってきた。
寧ろそのセリフはローが言いたかった。
「てめぇ、何同じものを用意してんだ」
「いやいやそっちこそ何パクってるんですか」
「今のおまえは戦闘向きじゃねぇことは分かってんだろ。大人しくしてろよ」
「ローが死んだら私は立ち直れない」
「その言葉、そっくりそのままてめぇに返してやるよ。つかこれを外せ」
「それならこれも外してよ」
「ふざけんな。外すわけねぇだろ」
「じゃぁ私も外すわけがない」
暫く2人で外す外さないの押し問答を続けていたのだが、どうやらローはネックレスを外すのを諦めたようだ。
ため息を吐いてソファーの背もたれに寄りかかり天井を仰いでいるその姿は、色々諦めているようだった。