第1章 前編 時の彼女と死の外科医
ローはユーリがルフィ達と消えた後、攻撃の対象がいなくなり動きを止めることができた。
そして迫りくる海面にいい加減脱出しないとまずいと思い、辺りを探っていた。
すると、そう時間が経たないうちに再びユーリが戻ってきたのだ。
(あの馬鹿!なぜ戻ってきた!?)
ローは咄嗟に力を入れたが、完全に気を抜いていたためかROOMの発動を抑えれなかった。
ユーリはローに背を向けた状態で現れ、海面を覗き込んでいる。
「…いっ!?」
そして、ROOMに入った瞬間倒れこんだ。
ユーリは能力が解除され、前回と比べ物にならない程の痛みにもがき苦しんだ。
もしかしたら使う能力の量によって痛みに比例するのだろうか。
そんな考えが一瞬頭を過ったが、考える余裕はすぐになくなった。
ローは苦しむユーリを助けようと駆け寄ろうとしたが、それは助ける動きではなく殺す動きとなった。
「っユーリ!」
鬼哭を迷うことなく背後から振り下ろしたローは、咄嗟に叫んだ。
その声に僅かに身を交わしたユーリだが、肩から背中に掛けて斬られてしまった。
「…〜〜っ!!」
辺りに赤い血が飛び散り、ゆっくりと地面に落ちていく。
ユーリは表情を歪ませた。