第1章 前編 時の彼女と死の外科医
(すいません私も人のこと言えないです)
ユーリは内心そう呟いた。
「いや、寧ろこの能力を持ってて今まで動物しか従えてなかったのはある意味純情だよ。ピュアピュアじゃん、菩薩かよ」
「まぁ、それもそうか。哀れなじーさんだな」
「なぁ、お前らなんの話してるんだ?」
「……黙って聞いてれば好き放題言いやがって」
好き勝手に話す三人にブリードはついにキレた。
「てめーら全員檻に入ってろ!」
こうして三人は仲良く檻に入ることになった。
そして途中で捕らえられてるシーザーと合流し、今後の流れを話し合っていた。
ローはシーザーとブリードのやり取りを見て耳を塞げばいいことは分かったので、後は隙を見てシーザーを取り返し逃げればいいと結論付けた。
もちろんルフィに話せばすぐバレそうなので黙ってた。
本当はユーリの能力を使えば一発で終了するのだが、痛がってる姿を見たことのあるので、彼女の力は最初から当てにしてなかった。
そして牢屋で再びブリードの怒りを買ったルフィ達は、檻ごと決戦の場に運び込まれた。
ユーリは元々二人の殴り合いが始まる前に止める予定だったので、そろそろ潮時かと思っていた。
男同士の拳を交えた熱い友情ももちろん素敵だ。
だが、最初に言ったようにユーリはローが傷つくところを見たくはない。
もちろんルフィもだ。
チョッパーがいなかったのは誤算だが、檻の中で二人の何気ない会話を色々聞くことができた。
ユーリは満足したので、そろそろ頃合いだと思い技を発動させようとした。
しかしここで問題が起きたのだ。
「ルフィ、ロー、ユーリを殺せ」
静かに呟かれた言葉。彼らに付けられた首輪が光る。
「そしてユーリ。お前は惨めに逃げ続け、泣き叫びながら死ね」
ユーリが技を発動する瞬間、何かが聞こえた気がした。