第19章 望み叶えタマエ
次の日、私は今までの人生で最上くらいのオシャレをしていた。
なぜなら、昨日帰って明日クラスで遊びに行くということを言ったら、おばさんは信じられないくらい張り切ってしまったからだ。近所の商店街にもすぐにすべて知れ渡り、そして今日起きると、あれよあれよの内にこうなっていた。
いつもおろしている髪の毛は、美容師の免許を持っている商店街のおばさんに、あっという間に編み込みの可愛らしい髪型にされて、お化粧もしてもらってしまった。服も、おばさんの若い頃の一張羅であるらしいワンピースを着せてもらった。デザインが古いとかはなく、今風の白くて清楚な感じのやつだ。
待ち合わせの場所に行くまでに、もしかして張り切りすぎて逆に浮いて引かれるんじゃないかと不安になり始めた。だってそうだよ…こんなに張り切って……張り切る場じゃないのに……あぁ……は、恥ずかしくなってきた…。
歩いていると、もう集まっているみんなが遠くに見えた。
服を見下ろすと、やっぱり真っ白で可愛くて。
睫毛はいつもよりバサバサして重たくて。
髪の毛も首のあたりがスースーして。
ゆっくりゆっくり歩を進め、ワイワイと話すみんなの輪の後ろに立つ。わぁ、みんなラフな格好で可愛い……。
「おっ、おはよう、ございます!!」
「え?この声は…安藤?」
「えっまじか!わかんねー!」
「ひよこちゃん!?」
「か、かわいー!!」
声を上げるとみんなが一斉に振り向いて、とても驚いた顔をした。誰か分かんなかったらしい。
とりあえず引かれなくてよかった。
「変じゃない…?」
「全然変なんかじゃないよー!!可愛い!!」
「髪型も違うし、眼帯なかったら誰かわかんなかったー!!」
「まじ安藤かわいーよ!!」
「…変じゃないのかぁ…よかったぁ……。」
みんなに変じゃないと言われ、だんだん自分の今の格好に自信を持ち始めた。おばさん達がやってくれたんだし、きっと凄いんだよね、と。
そして、ショッピングモールに足を踏み入れる。
ここ!!初めて来た!
とさっきまでちょっぴり下がり気味だった気持ちもどんどん上がってくる。
「みんな目的バラけてっし、時間決めて自由行動すっか!じゃあ3時にここ集合だ!」
みんな自由行動することになった。みんなと来たのになと、気持ちがツンっと少しだけ落ちていった。
