第19章 望み叶えタマエ
マスクを外すと、頭がスっとしてたくさんのことを考えられた。
改めて、みんなで林間合宿に行けるんだということを実感して、午後の授業の間ずっとボーッと期待に胸をふくらませていた。
どんなことをするんだろう。
夜はみんなといっぱいお話するのかな?恋バナとか?一緒にご飯作ったり、もしかしたら肝試しなんかしちゃったり…!
「ぐふ…ぐふふふ…。」
「安藤!!浮かれんな!連れてかねぇぞ!」
ニヤニヤしてしまっている所を先生に見られ、大きな声で注意された。恥ずかしさで顔が真っ赤になったけど、まだ喜びの方が勝っていた。
帰りのSHRで先生にしおりをもらった。一週間の合宿になるみたいで、ちょっぴり不安になったが、やっぱり喜びの方が勝った。
嬉しくって何度も何度もページを捲った。
本当にみんなで行けるんだ。一緒に行けるんだ!
鼻歌を歌いながら帰る準備をしていると、なにやらみんながワイワイし始めた。
「いろいろ買わねぇとな…」
「暗視ゴーグル!」
「あっ!じゃあさ!明日休みだし、テスト明けだしってことで、A組みんなで買い物行こうよ!」
透ちゃんのその声に、私の鼻歌は止まった。
クラスみんなで、買い物…?
友達と買い物……!?
「行きたいです!!」
「おぉっ!急だな安藤。」
私の昂ったこの気持ちに、まだ上があったんだと自分でも驚いた。居てもたってもいられない気持ちで、私は小さくジャンプした。
みんなも盛り上がっていて、
「おぉっ!いい!何気にそういうの初じゃね?」
「うん!」
友達とお買い物なんて初めてで、嬉しくて、これ以上ないくらいニヤニヤしてしまっていた。轟くんと勝己くんが来ないのは、ちょっぴり残念だったけど。
さっきより盛り上がった鼻歌を歌っていると、後ろから鋭児郎くんが話しかけてくれた。
「嬉しそうだな。」
「うん!」
「いやぁ本当、みんなで行けてよかったよ!マジで!」
「うん!!」
「安藤は明日なんか買うもんあるんか?」
「えっ?…うーん……あっ」
さっきの紫頭が頭に浮かぶ。そうだ!アレを買わなきゃ!
「日焼け止め!」