第19章 望み叶えタマエ
屋内から屋外にでて、キョロキョロと人のいなさそうな所を探す。誰にも会わないような、静かで、奥まった場所。
ふと学校の裏の方から涼しい風を感じ、そちらに足を向ける。
校舎裏。独りでご飯を食べるにはもってこいの場所だ。そこでご飯食べようかなと足を踏み入れると、そこには猫が1匹座っていた。
「猫ちゃんだ!」
それだけで私の心の中の怨みつらみがスンッと半分くらい吹っ飛んでいった。
お弁当ここで食べよう!
私の頭の中がその案で持ち切りになる。頭の中では満場一致だ。
ストンとコンクリートの段差に腰をおろすと、またあの涼しい風が吹いてきた。さっきの猫ちゃんは、私が隣に来てもどっしりと座ったままで、なんていう肝の座ったお猫さまだ……と感心した。
木が沢山生えているおかげで日陰になっていて、木の葉の隙間からチラチラと漏れる光がすごく綺麗だ。これが木漏れ日なんだ…と、なんだか初めて見たような気になった。
ここなら誰もいない。そう思ってマスクをぱっと外す。
「んー!」
今日初めて息を吸えた気がする!
さっきの事を全部忘れたフリをしてひたすら伸びをした。
「あ、安藤。」
「んぐっ!?」
すぐ近くからよく知った声が聞こえ、私の背筋はくちゃっとまるまる。
この、声は……
「人使…くん…!?」