第19章 望み叶えタマエ
そして昼休み。
どうしてもみんなの前でマスクを外したくない私は、1人で食べる!と宣言してお弁当を持って廊下に出てきていた。
さて何処で食べれば良いものか……。
廊下でウロウロと右往左往する。あては無かった。
ちょうどB組の教室の前を通った時、あの、ちょっぴり意地悪そうな声が聞こえてきた。
「あれぇ?なにしてるんだい?」
「も、物間くん……。べ、べつに……。」
1番会いたくなかったな……。
早急に目をそらして立ち去ろとする。
彼のことだ。マスクの事でまたなんか言われる。
「おや?マスク…。風邪かい?」
やっぱり…!
「体調管理もできない?A組は優秀なんだろう?あははは!」
「あ、まぁえっと……そんな感じ…。あは、は。」
「……違うな。」
「え゛!?」
バレた。
こういう時この人って意外と鋭いんだ。どうしよう。マスクが熱くて頭があんまり回らない。いい言い訳が思い浮かばない。
「マスクの奥になに隠してるんだ?」
「ぎくぎくっ!」
「マスク取ってみろよ。」
「いやっ!いやだぁ!な、やめ、やめろぉ!!」
物間くんは強引にマスクを引っペはがそうとしてきた。私は必死に顔にマスクを押さえつける。マスクが取れたらあの落書きが顔を出してしまって私は社会的に死ぬ。
そして廊下で取っ組み合いが始まった。
しかし男の力というものはやっぱり違うもので、私には圧倒的に分が悪かった。
「た、助けてぇ!」
涙ながらに助けを求めていると、正面からこの前B組に迷い込んだ時にであった、あの灰色の髪のちょっと怖い人が歩いてきているのが見えた。
誰でもいいから助けてほしい。
「助けて…!」
「あぁ?」