第2章 プライド×劣等感
「あほズラさげて何してんだよ。」
ぽかんと彼を見つめると、彼はお得意の憎まれ口をたたきはじめる。
「さっき生意気いった罰だな。」
「なんで……。」
「あぁ?なんか音がしたから来たんだよ。あ?んだそれ。デクのノート拾ったんか?」
私の右手のノートを見て言う。
「……うん。」
「いっつもクソカス無個性同士つるみやがってウゼェんだよ。」
「クソカスって言わないでよ。勝己くんには関係ないよっ!!」
個性のことは、地雷だ。
むっと怒って彼を睨みつける。
「勝己くんなんて……勝己くんなんて、大っ嫌い!!……ばか。」
「あ"ぁ!?んだと!?」
勝己くんに初めて嫌いって言った。
その言葉を発するだけで、心がジュクジュク黒くなって、なんだか苦いものが広がっていく。
ちょっと成長した?主にダメな方向に。
本当は嫌いなんて思ってない。本当だよ。ただ、勝己くんが羨ましくて。今はちょっぴりムカついて、言っちゃっただけで……。
私が下を向くと、少し沈黙が続く。
なんで勝己くんまだいるの?喋るか帰るかして欲しいな……気まずいし。
だんだん、寒くなってきた。
まだ4月だし。いい加減ここから出よう、そう思って足に力を込めた。しかし、足を挫いたせいかぜんぜん動かない。
もしかして、助けて貰わないといけないかも…
嫌いって言った手前、声かけづらいけど、私は決死で声をかけた。