【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第4章 roasting
口々に私を宥めるような言葉をかけられ、しかし整理できずにぐるぐると回る。
今の今まで忘れていた、ここが戦国の世だという事実を突きつけられて、目眩がする――
「千花、貴様…
とうに覚悟していたのではなかったか?
この乱世で生きていく、という事を」
信長様にかけられた言葉に、はっと顔を上げた。
「この世では、誰もが死と紙一重にいる。
俺も、貴様に生命を救われなければ…
彼奴と同じ様に、無様に死に絶えていた身。
しかしこうして生き長らえたからには、その様な憂いの無い、泰平の世を作って見せよう。
それまで貴様が我等に着いてくる事は、覚悟の上だと――俺が、買い被り過ぎていたか?」
信長様の強い言葉に、強い信念に、ぐっと唇を噛む。
いつの間にか、震えは止まっていた。
「…信長様の、仰る通り。
覚悟が足りていませんでした」
緋色の目が、まるで心の奥底まで見抜こうというように、私をじっと見ている。
気圧されまいと、家康から手を離し、拳を強く握った。
「もう、大丈夫です」
いつかこんな事をしなくて済む世の中を作るため、彼等も戦っているのだとすれば…
私も出来る限りの手助けをしなければいけない、と改めて覚悟を決める。
じっと見つめ返すと、激しい焔を孕んでいた目はふっと弛み、笑みの形を作った。