【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第4章 roasting
「千花、家康、首尾は上々か」
「…信長様、」
呼ばれた声におずおずと顔を上げる。信長様が馬上から、私たちを見下ろしている。
太陽を背に立つその姿は、神々しくも、禍々しくも見え、息を呑む。
「千花、どうした」
「あの、あの人、は、」
「奥山なら、事切れたぞ」
後ろから、光秀さんの声。
振り向くと、秀吉さんと三成君、政宗もいる。
秀吉さんが信長様から手綱を受け取り木に繋ぐと、信長様がひらり、と軽やかな身のこなしで馬から飛び下りた。
「千花…元より、彼奴を討つための茶席なんだ」
「えっ…秀吉さん、それって、」
「彼奴の悪評は予てから耳にしておった、民から無法な税を貪り、私腹を肥やしていると。
そして、女と甘味に目がないという事も…
その様な輩は、俺の軍には要らぬ。
しかし、奴も曲がりなりにも百戦錬磨の一大名、そう簡単には首を取らせまい。
そこで何も知らぬ千花を使え、と打った策よ」
自分の運んだ干菓子に入っていた毒が、彼の生命を奪った。
間接的ではあるけれど、人を殺してしまった――
信長様の言葉にそれを思い知らされて、またじわり、と新しく涙が滲む。
どうしたら良いか分からなくて、また、すがり付くように掴んだままだった家康の腕に力を込めてしまう。
家康はちらり、と私の目を見て、口を開いた。