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【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】

第4章 roasting







差し出してくれる手を頼りに、立ち上がる。
もう片方の手は、私の目を覆ったまま。
そろそろと家康に促され歩き出すと、どさり、と倒れ込むような重たい音。



見えないから、想像するしかないけれど――




恐ろしい結果しか思い付けなくて、カタカタと震える手を家康がぎゅっと握ってくれる。
そうして天幕を潜る、その時。
息子さんの、父上、という小さな声が耳に届いた――








茶席から少し離れたと思しき所で、漸く目を覆っていた手から解放される。
飛び込んでくる光に目が眩んだかと思うと、腰の力がへなり、と抜けた。
家康がさっと手を差し出してくれて、支えられる様な格好で、地面に腰を下ろす。




何も言えなくて、ただ家康の腕にしがみつく。
家康は空いた手で私の背を摩ってくれるけれど、心臓がどきどきと早鐘を打つ。





「千花、落ち着いて、大きく息を吸って…

そう、上手」






まるで子供のようにあやされないと、呼吸も覚束無い。
がたがたと身体の震えが止まらなくて、じわじわと涙が溢れてくる――
私の考えが正しければ、あの人は、恐らく、




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