【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第4章 roasting
「あの、決して嫌とかじゃなくて!
家康にこんな所を見られたのが恥ずかしすぎるだけで!
しかも家康が珍しく笑うから!
もう訳が分からなくなったと言うか!」
「わかった、いや、よく分からないけど…
大丈夫だから!」
家康も仰天しているのか、らしくなく慌てている。
それを見て、逆に少し落ち着きを取り戻した私は、ひとまずふぅ、と大きく息をついた。
「とりあえず、ごめんなさい、誤解させてっ…」
「それはいいから、部屋に戻りな。
もう遅い、片付けは俺がやっておくから」
「わ、わかった、なんかもう色々、有難うっ」
落ち着きを取り戻したとは言え、まだ心臓はうるさい程、早鐘を打ったまま。
このまま一緒にいたらおかしくなってしまう、と足早に部屋を後にしようとした、その時。
家康のいつもより潜められた、しかしはっきりとした声が耳に届く。
「千花、前に言ったでしょ、覚悟しておくように、って」
その言葉に、今の今まで女らしい、楚々とした所作を練習していたのも忘れて。
慌ただしく自室まで戻り、襖を閉めて、敷かれていた布団に倒れ込んだ。
自分が感じたものは自惚れじゃなくて、家康の気持ちそのものだったのかもしれない、と…そこまで考えて。
思考の許容範囲を超えた頭がぷすぷすと、熱で焼け焦げるような感覚のまま、私は眠りに落ちていった――