【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第4章 roasting
よくもそんなに貶し言葉を知ってるな、と思うほど。
不作法だの不躾だの無頓着だの、並べ立てられた言葉に悲しむ暇も無い…流石に真っ直ぐ顔が見れなくて、俯く。
「それでもって…無自覚」
「…え?」
そこで今までと毛色の変わった文句に、急に趣の変わった声色に、思わず顔を上げようとするが。
しかし、ぱっと放された家康の腕、そこに甘えていた私の体は重力に従って落ちていく。
声を上げる暇もなく床に背がついた、と思ったらぐるり、と反転させられて。
足が使えないとされるがままだ。
受け身を取る余裕もなかったから、鼻が畳で潰れてぐえ、と声を漏らす。
何が起こったのだろう、と腕で身を立てようとするも、上半身に突然かけられた重みに身動きが取れなくなる――
ややあって、家康にのしかかられていると、漸く気付く。
「な、何!」
「例えば、誰かにこんな事されても抵抗出来ないだろうな、とか。考えなかった?」
耳元でかけられた声にぞわり、と背が粟立つ。
声を上げそうになって、寸での所で飲み込んだ空気が喉で鳴った。
「ひぅっ…だ、だって、城の中にいる、のに、」
「何言ってるの、周りは男だらけだろ?
…千花の自覚が、足りてないだけ」
私の事を押さえ付けたまま、家康は器用に片手を動かし、さわり、と脚を線に沿ってなぞる。
それにすら変な声が出そうになって、ぐっと息を詰めた。
「あっ…の、いえやす、何、して、」