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【イケメン戦国】戦国舞花録

第22章 『衝動』





「…………それでね、子どもの頃なんてさ。
捨て猫を拾うたびに何匹も連れ帰ってくるもんだから“もうやめなさい”って両親に叱られちゃって。
うちの子にするんだー、って泣き喚く蓮を慰めるのが私の役目だったの」

「へぇ〜。想像できねぇな」

「ふふ、でしょ?
昔から心の優しい子なんだよ」

「ほぉ〜。
ははっ、気性が荒い割にはちゃんと可愛い一面もあるじゃねぇか。なぁ?」


卓に並べられた菓子と茶を堪能しつつ、
姉と大いに盛り上がっていた伊達がこちらへ話を振ってくる。その表情は、
面白がるような、揶揄うような………。
大変憎たらしい男である。

姉も姉だ。
にこにこと人畜無害な笑顔で暴露話を投下するなんてーーー

なんだか色々とバレてしまい、言い逃れできなくなった私は聞こえない振りをして照月と戯れていた。


「いい加減、お前もこれ食ってみろよ。味は保証すっから」

「………いらない」

「なーに不貞腐れてんだ。ほれ」


顔を背けていると。
目の前にずいっと差し出された皿の上には、初見の和菓子。
鮮やかな若草色をした枝豆のペーストが餅を覆っている謎の一品。

しつこく勧めてくるので仕方無く手に取り、
ひと口噛みちぎって咀嚼する。とーーー


・・・・・


おいおい。

なんだ、これ。


ーーー………美味い!


絶妙な甘みに、豆の風味が広がる。
歯触りの良い粒の食感。
ペーストだけではなく餅も美味い。

悔しいが、見事と言わざるを得ないーーー


「どうだ?味は」


二口目、三口目……と無言のままもぐもぐと食べ続けていると、自信に満ちた したり顔の伊達が感想を聞き出そうとしてくる。
褒めてやるのも癪なので「まぁまぁ」と答えると、何故だか嬉しそうに笑っていた。



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