第5章 私立リアリン学園!序章
~心機一転!~
あれから、数日が経った。
やっと梅雨明けして、ムシムシとした空気と、太陽がジリジリと照りつける毎日。
周囲は、すっかり夏休みモードで。
せっかくの夏だというのに、楽しい予定もなし。彼氏もいない。
それならばと、新たな仕事を探し始めて―――。
そして、決まったのが、ゼミナールの講師。
夏期講習期間のみの短期だけど。
結衣に言われたのもあって、少しでも夢に近づければと思い立った。
そして、今日が初日。
ガラス扉の引き戸の前で、まず、深呼吸。
この辺りでは、有名大学を目指すゼミナールとして名高い。
もしかしたら、生徒の方が頭いいかもしれない………。
………いやいや、そんなこと言ってられない。
とにかく、頑張らなきゃ!
「………入るの?」
後ろから、ふいに声がして。
私は、振り向く。
金髪に青い瞳、まつげがすごく長くて………さながら、おとぎ話の王子様のような容姿の彼が不機嫌そうな顔つきで立っていた―――。
「入らないの?」
再び、言われて。
「あ、ごめんなさい。入ります」
ドアを開けて中に入ると、王子君も続いて入って来た。
………ここの生徒なのかな。
入口に設置されたゲートを見て、立ち止まる。
後からやって来た生徒達は、私を追い越し、カードを出してゲートにかざしながら進んで行く。
すぐ横には、受付の窓口はあるけれど、誰もいない。
えっと………。
カードなんて、もらってないし。
どうしようかな………。
と、王子君が、受付の呼び鈴を鳴らしている。
そっか、そうすれば良かったのか。
私は、王子君の様子を伺って、ぼんやりと立ち尽くしたまま………。
呼び鈴の音で、受付に事務服を来た女性が現れ、王子君は何か話している。
すると、事務服の女性が、なぜか私を見て………。
「あ、お待ちしてました」
と、声をかけられる。
―――え、私?