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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第5章 私立リアリン学園!序章




~地図~





あー、危なかった、乗り過ごすとこだった。

私は、心臓がバクバクしているのを鎮めようと、深呼吸を繰り返す。

新幹線の窓の移りゆく景色。

少しずつ夜へと傾く空。

私は、それらをじっと眺めながら、軽い揺れと振動に身をまかせていた―――。



到着した時には、すっかり紺色の夜になっていた。

地図を片手に、旅館を目指す。

そんなに遠くはないはず………そう思って、タクシーに乗らずに歩きだしたけど。

………あれ?そろそろだと思うんだけど。

似たような旅館が立ち並んでいて、私は、ウロウロと歩き回る。

同じ道を何度か歩いた気がする………。

これは、もう、誰かに聞いた方がいいかな。



―――あの人なら、しっかりしてそう。



ちょうど通りすがった人に、声を掛ける。

「すみません、ちょっと道をお聞きしたいのですが」

そう言って声をかけると、その人は、私と一緒に地図を覗きこんでくれて。

「私、今どこにいるんでしょうかね?」

自分でもマヌケな質問だなと思いつつも、私自身がどこにいるのか把握したい。

目印になる建物がなくて、地図を見てもよくわからないのだけど………。



「駅から歩いてきたって言った?」



思っていたよりも近くから、ボソリと、そう呟かれて。

不自然にならないように少しだけ距離をとる。

「あ、はい………」

「地図の見方、反対」

そう言われて、焦る。

「え。じゃ、もしかして、私、全然反対方向歩いてきちゃってる、とか?」

「………いや、一本、道間違えてるだけ………ここ、大通り戻って左にまっすぐ行くとすぐだから」

「よかったぁ」

「………地図、反対に見てるのにちゃんと来てるって………どれだけ方向音痴なんだか」



そう言って、クックッと笑っている。



「………」



私は、なんて返答していいか戸惑う。

笑われては、いるけど………悪気はないみたいだし。



「ほんと変わってる」



もう一度、ポツリとそう呟くと、真顔に戻る彼。

「もう暗いから気をつけて」

「あの、ありがとうございました」

私は、去りゆく彼の後ろ姿に、大きな声でお礼を告げて。

結衣の待つ旅館へと急いだ―――。







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