第5章 私立リアリン学園!序章
~小旅行~
チャララン♪
しばらく歩いていると、スマホの着信が鳴っているのに気づく。
私は、カバンの中から取り出すと、耳にあてる。
「………結衣?久しぶり。どうしたの?」
電話は、親友の結衣からだった。
「マイン、暇?暇だよね?ねえ、今から、温泉来ない?」
「温泉?え、今から、って?」
―――数時間後。
突然の結衣からのお誘いにのって、私は、ボストンバッグを持って駅にいた―――。
仕事で温泉地に来ていて、明日は休みなので、もう一泊する事にしたと言っていた。
結衣は、念願の雑誌記者となり、就職してからはずっと研修で忙しく、たまにLINEで話す程度だった。
大学を卒業して、三ヶ月ぶりに会うことになる。
私は、沈みかけていた気持ちが一転して、ウキウキと新幹線の切符を買う。
夕暮れ時の駅は、帰宅を急ぐ人々でごった返している。
それに比べると新幹線乗り場は、比較的空いている。
私のようなのんきな旅行者や出張帰りのサラリーマンなど、いろんな人がいろんな目的ですれ違っていく。
吸い込まれた切符を再び軽やかな仕草で取り戻し、改札を通り、ホームへと向かう。
切符を見ながら、到着する号車の位置を探し、ゆっくり歩く。
あった、ここだ。
自分の乗る車両の番号を見つけると、結衣にLINEを送る。
『これから乗るよ~~!』
ご機嫌なスタンプも一緒に送信完了!