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【イケメン王宮・イケヴァン】りありん劇場♥R18

第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~




「テンポ注意して。後は………」


ヤバイ。わかんねえ。

焦ってるというのに、なぜかアイツの顔が浮かんできた―――。

『ほめて伸ばす』だっけ。



「………少しくらいミスってもいい。そんなの、すぐ直せるだろ。表現豊かに、雰囲気大事に………今の感じでいいから」


バカみたいに上手だ、なんてほめるわけにいかない。彼らもそんなのを手放しで喜ぶほど子どもじゃない。

だけど………彼らを認めてることは、伝えなきゃいけないんだよな。今ので、伝わったどうか定かでないけれど。



「落ちてるヤツが何言ってんだよ、笑える」


ボソリと聞こえる一言………また、あのフルートか。それ、もちろん俺に対して言ってるよな?

落ちる―――つまり、どこを弾いているのかわからなくなる状態のことだ。

ヤツは、時折嫌味を投げかけてくる。大抵は幼稚なレベルだ。

だから、普段は、まったく相手にすることなくやり過ごす。

けど。



ふうっ。

小さく息をつく。



「悪い、次から気をつける」


ヤツの目をしっかり見つめて、謝罪の言葉を口にする。

と、驚いたように目を見開いている。



「い、いや、いいんだ。誰だって落ちる時あるし………」


謝られるとは想定外だったのか、逆に慌てふためいて視線を逸らした。

………案外、小心者だ。

コイツとも話せば分かり合えるのか?

ま、それは、ないように思うけど。そういえば、名前………なんだっけ?







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