第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
生徒会室でのマインの様子だと、見覚えがあるような気がする、けど思い出せない―――そんな感じだった。
『この分じゃ、前逢ったのも覚えてないみたいだな』
進路指導室でそう言った時も、何を言われたのかわからないといった顔つきをしていた。
まあ、あんな通りすがりの一瞬の出来事、覚えてなくて当然か。
俺も忘れてたし。
というか、マインが『教師』だということに驚いたけど。
次に会ったのは、つい一週間前の昼休み。
マインが、辺りを気にしながら、男子宿舎から出てきたのだ。確か、宿舎の異性立ち入りは禁止だった。それは、教師だって例外はないはず。
しかも、今は昼休みだ。宿舎には誰もいない。何より、出入りにはIDが必要だ。
どうやって入った?そして、何をしていた?
かなり不審なヤツだと思った。この状況じゃ、そう思わざるをえないだろう。
疑問はフツフツと湧き上がる一方だったけれど、すぐに思い直す。
―――そんな事、俺には関係ない。
一組の受け持ちが主なようで、二組の俺は、まだ授業を受けたことがない。きっと、これからもそうであろう。だから、ただ、テストまでの数日、補習を受けるだけの間柄だ。
他人の事情に深入りしたくない。マインだって追求されたくないだろう。このまま黙って通り過ぎればいい。