第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
「うん、そう。誰だって頭から注意されればムッとくる。ましてや、このオケのメンバーは、皆、プロの卵。誰よりも自分の腕に自信持ってて、プライドも極上に高い。ミスを指摘するのは、もちろん大事だよ。でも、それは、彼らの腕を認めてるって前提ならね」
「俺は、メンバーの腕を信用してるけど?」
「それ、一度でも言葉にした?皆にその気持ち、伝わってる?」
「それは………どうだろう」
「まずは、こっちから歩み寄ろうよ。向こうは先輩だし、レイヴィスは新参者なんだしね。お互いがお互いが信頼する―――これ、魔法の言葉だよ。目の前の仲間と最高の音を作ってほしい。今、この時に一生懸命でいてほしい。先を考えるのは、そういうのの延長線なんだよ。将来ももちろん大事だけど、プロになろうがなるまいが、今は、関係ないと思う」
ひと息に、そう告げて―――。
「お前、本当に先生なんだな」
「ん?」
「お前みたいなのが教師で、この学園、大丈夫かと思ったけど」
「何、それ?ほめられてるのか、けなされてるのか、わからないよ」
「ほめてる。本当、お前って変わってる」
「変わってるって………ほめ言葉じゃないと思うけど?」
「ほめ言葉だよ。『ほめて伸ばす』だろ」
そう言って、柔らかい、優しい笑顔を浮かべるレイヴィス。
あ、こんな心からの笑顔、初めて見る―――。