第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「セバスチャンは、どう思ってるの?リアリン学園長を疑ってる?」
「私の意見など無意味でしょう。事実を受け入れるのみです。それはそうと………論より証拠。今すぐ確認しましょう」
「へ?」
セバスチャンは、足早に歩きだした。
「どこ行くの?」
「マイン先生の次の授業は、どこでしたっけ?」
「視聴覚室だよ?」
「ちょうどいいですね。あそこには、パソコンがあります」
「あ」
なるほど。
そこで、黒崎のデータを見るってことか!
次の授業が始まるまで、まだ少し時間がある。
ふと、手に持ったUSBデバイスの先端がキャップのようになっていることに気づく。
試しに両の指先で持って先を引っ張ってみる。
と、パチンと音がして、キャップが外れた。
その先端の形状からして、スマホの充電口に差し込めそうだ。
「これ、ジャックが二つあるんだね」
「ええ、キャップを外すとスマホ用になります」
スマホに差し込めるなんて、これは、かなり便利だ。差し込んでボタンを押すだけで中のすべてのデータがコピーできるんだもん。
「今、スマホのデータも取り出せるなんてラッキー♪と思いましたね」
「そりゃ思うでしょ」
「スマホは個人情報の宝庫です。そんなものを他人が触れるなどということが可能だとでも?」
「あ、そっか。難しいね」