第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
ハ―――ッ。
と、今度は、盛大にため息をついてみせるセバスチャン。
「つまり、あなたは見かけだけで黒崎を黒、リアリン学園長を白と決めつけているということですよね」
「見かけだけってことは、ないと思うけど………なんとなく。勘かなあ」
「………今度は、勘ですか。いいですか、リアリン学園長は、この学園都市すべてを取り仕切っていました。時には非情な決断をすることもあります。あのように温和な顔つきをしていますが、実際は、腹黒い一面もあるのですよ」
「………」
それは、そうかもしれないけど。
ジル教頭が、リアリン学園長を支えるべく常に動いている。そして、シドも。
今回刺されたのは無関係かもだけど、学園のために危ないこともしているだろう。
裏で動くシドには、クロードやロベール先生がついてて。それから、ルイにアラン。
そして、セバスチャンも。
皆から信頼されて成り立ってる。だから、学園長を悪い人と思えないのだ。
「人には、裏と表の顔があります。その表の顔に騙されて、裏切られることもあります。裏切るつもりなどなかったのに、結果的にそうなってしまうことだってあります」
あ、なんか、アーサーもこの間、似たようなことを言ったっけ。
初めから悪人なんていない。誰だって悪に手を染めるか染めないかの瞬間がある。
リアリン学園長もそうだって言うの?
そんなつもりはなかったのに、皆を裏切る形になってしまったってこと?
あ~~~っ、もう、頭の中がゴチャゴチャになってきた!!