第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
~探偵ごっこ~
あんなに意気揚々としていたのに、なかなか機会がやってこなくて、ヤキモキする毎日が続いていた。
最近の職員室は、空き時間でも必ず誰かがいる。他人のパソコンを開ける状況なんて、そうそう訪れやしない。
それに、私と黒崎の席は、端と端くらいな離れよう。
唯一の救いは、職員室の出入り口がある通り道に、黒崎の席があるということだ。
だから、それとなく何度か通り過ぎることはできるんだけど、立ち止まるのも不自然だしね。
そうこうしているうちに、やっと機会がやってきた。
合唱コンクールを明日に控え、毎日詰まり気味だった私の時間割が、今日は調整のためか緩くなっている。
1時間目から空きなんて珍しい。
そして、次の時間は、視聴覚室での授業。つまり、黒崎に、鍵を借りる必要がある。
この日まで動けないだろうと一応、予想はついていたけど、やっぱりだった。
私が準備室を使う授業は限られているからね。
だからこそ、このチャンスをうまく活かさなきゃ!
他の先生達を見ていると、黒崎がいない時は勝手に缶から鍵を取り出し、ノートに記入しているようだ。
黒崎だって授業があるから、いつもいるとは限らないからね。
黒崎と話したくないってのもあるし。
私もそうしてみよう。
鍵を取り出す、持ち出しノートに名前を書く、その間に、パソコンの中身をコピーする。
うん、よし。これなら、うまくいきそう!!