第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
その日の夜。
セバスチャンが、女子宿舎にやってきた。
中には入れないのでゲート前の外に立っているセバスチャンの元へ駆け寄る。
大きなビニール袋を手にしている。受け取って中を見ると、クリーニングに出してもらっていたドレスだった。
「それから、これを」
そう言って、よくあるUSBメモリを私の手のひらに乗せた。
ドレスのついでというより、コレのために来てくれたんだよね。学園では渡しづらいもんね。
「USBデバイスです。パソコンを起動させて、コネクタに差し込むと自動的にパスワードの分析を始め、すべてのデータが開きます。横のボタンを押すとコピーができます。点滅している間は、コピーをしていますので。ランプがついたら完了です」
「ボタンを押すだけでコピーできるんだ。便利だね。コピーにかかる時間は、どれくらい?」
「データ量にもよりますが、一分もあれば完了するかと」
「一分?早いね」
スゴイ。最新機器だねえ。たったの一分なら、なんとでもなる。
とにかく、なんでもいいから行動に移さないとね。
ちょっとドキドキするけど、やるだけやってみないと!早速、明日、決行だ!
「面白い情報が出たら、教えてください。芽瑠先生は変わり者で有名でしたから」
「ん?芽瑠先生?」
「芽瑠先生のパソコンかもしれないのですよね?」
「………っ、あっ、うん。そう」
自分でついた嘘を忘れてた~!
私のおかしな態度に首を傾げなら、セバスチャンは帰って行った。