第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「………っ、セバスチャンのお手伝いだもん!」
「私を巻き込むのは、やめてください」
迷惑そうに顔をしかめるセバスチャン。
「コイツのお守りまでさせて悪かったな、セバス」
「いえ。迷い込んだノラ猫は、一時的には保護することと決めているので」
「ちょっと、誰がノラ猫なのよ!?」
「お前だろ」「あなたが」
シドとセバスチャンの声が重なる。
「も~~うっ!!」
「それで、パスワードが何だって?」
シドが真顔になる。
………前に、シドとは約束させられている。『黒崎に関わり持つな、近づくな』って。
だから、正直に話すわけにはいかない―――。
考えながら、ゆっくり話しだす。
「資料室で、古いノートパソコンを見つけたの。誰のかわからなくて。処分する前に中のデータを確認したいなと思ったんだけど、パスワードがないと開けなくて」
「なるほど。そういうことか」
「………」
信じたかな?
「そのパソコン持って来い。俺がデータ取り出してやる」
「えっ」
………それは、困る。黒崎のパソコンなんて、持ってこれるわけないじゃん!