第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
紙袋から猫缶を取り出す。
蓋を開けて、地面に並べていると、猫達が出てきた。
ニャー、ニャー。
………カッワイイなあ。
見てるだけで癒されるね。
猫の頭を撫でながら、思う。
こうして、シドの手助けをしてるってことは、つまり、リアリン学園長やジル教頭とも密接な関係ってことだよね。
セバスチャンに相談してみようか―――。
「ねえ、パスワードを突破するいい方法って、ないかな?」
「ずいぶん会話が突飛な気がするのですが。パスワード………それは、ずいぶん難関ですね。私のような、ただの執事には、答えかねます」
………セバスチャンって、執事なんだ。
そんな言葉、思い浮かばなかったなあ。
執事ってあれだよね、お金持ちのお嬢様とかの身の回りの世話をする人。セバスチャンは、学園の執事ってことなのかな。
「また何やらかそうとしてるんだ?マイン先生よぉ」
不意に、背後から低い声が聞こえてきた。
―――!
えっ、この声って………。
急いで振り向く。
「シド!?怪我、治ったの?もう大丈夫なの?」
「ゆっくり療養もできねえ。俺がいねえ間に、ひと騒動あったようだな」
いつもの不敵な笑みを浮かべて、立っているシド。
「そうなのよ!もう、いろいろ………って、あれっ?でも、そういえば、シド、退学にされたんだよね?」
「勝手に決めやがって。んなもん、誰が従うかよ」
「相変わらずだね」
あまりにいつもどおりなので、ついクスッと笑ってしまう。
「で?お前は、なんでココにいるんだ?勝手に来んなって言っておいたはずだが?」
凄みのある顔つきで睨まれる。