第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
と、角を曲がってきたセバスチャンと鉢合わせた。
セバスチャンが、持っている紙袋をさり気なく後ろ手に隠したのを、見逃さなかった。
「どこ行くの?」
「どこというほどでもありません」
「それ、何?」
「別に、何も。仕事がありますので、失礼します」
シラッとした顔で通り過ぎて行った。
セバスチャンは、この学園では、どういう位置づけなんだろう?先生ではないみたいだからね。雑用係って言ったら、言葉が悪いけど。なんでも屋的な、そんな感じ?
初日に車で迎えに来てくれて、いろんな手続きをしてくれた。それから、ルイの音楽会の時は送ってくれて、ドレスをクリーニングに出してくれた。
お昼を食堂から応接室に運んでくれたりもしてたね。
そういえば、シドの代わりに猫にエサあげてるんだよね―――。
あ、もしかして!
私は、セバスチャンが去った方向に歩きだした。
しばらく歩いて、裏庭に出る非常口のドアを開ける。
やっぱり。
そこに、セバスチャンの姿を見つけた。
「あとをつけてきたのですか?悪趣味ですね」
すぐさま私に気づいたようで、振り返って小さくため息をつく。
「悪趣味って。そんなんじゃないよ。私もここに用があったの」
「一人で来てはいけないと言われてますよね?」
「一人じゃないよ、セバスチャンがいるもん」
「………ああ言えばこう言う………それは、屁理屈と言うものです」
「いいから。私も手伝うよ」