第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
手がかりがまったく掴めないまま、日は経っていく一方だ。
………行き詰ってるなあ。
黒崎の担当教科は数学だ。今までまったく関心なかったから、知らなかったし知ろうともしなかった。
あの偉そうでイヤミな態度だから、生徒にはもちろん嫌われている。
それから、この学園では一番の年長者なようだ。
あの歳で独り者なのかな?宿舎暮らしだからね。家族がいるかどうかもわからない。
黒崎のことでわかったことは、これだけだ。
静かな職員室。何人かの先生はいるけど、次の授業の準備をしているようで、黙々と机に向かっている。
黒崎は、いない。今は3年2組で授業中。黒崎の時間割は調査済み。
あれ、そういえば、最近、ジル教頭を職員室で見かけることが少ない。
ドコにいるんだろう?学園長室かな?
そんなこと言ったら、クロードとロベール先生だって職員室にいたのは、最初の時だけだった。
どこかに、いいくつろぎ場所を見つけたのかも?
私は、別に職員室が窮屈だとは思わないから、これでいいけどね。
ちょっと休憩にしよう。
な~んて、さっきからずっと休憩だけどね。
次の授業も合唱練習だから、何も用意する必要がない。
こんなに時間を持て余しているのに、作戦は進まず。冴えたヒラメキもやって来ない。
フウッと軽くため息をついて、立ち上がり、職員室を出る。
一番近い自販機でいつものミルクティーのボタンを押す。
ガコンッ。
ひんやり冷たいペットボトルを取り出す。