第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
真剣にパソコンに向かっている黒崎は、一区切りついたのか、意気揚々と最後のキーを押して満足そうにニカリと笑っている。
なんだろう。新たな企み始動ってコトかな?それ、絶対に阻止しないと!
黒崎は、両手を上に上げて伸びをし、首をグルグルと回してから、おもむろに立ち上がった。パソコンはそのままで、職員室を出て行った。
トイレか自販機だな。
でも、これは、チャンスかも!
静かに立ち上がって、黒崎の席へと近づく。
他の先生達の様子を伺うけれど、特に私の動きを不審に思っているような感じはない。
すぐ前のパソコンの画面は、スリープモードになっている。手の甲でそっとパソコンに触れると、パッと明るくなった。
ディスプレイには、パスワードを入れる画面が表示された。
何、アイツ!ポツ打ちのくせに、パスワード設定してるの?
パスワードって………何入れればいいわけ?
あ~、ダメだ。突破無理!
私は断念して自分の席へと着く。
少し経った頃、手に缶コーヒーを持って、黒崎が戻ってきた。
パスワードの解読なんて絶対無理。
こういう時、探偵なら、どうするんだろう?
なんて。
そんなコトをずっと考えながら、一日が過ぎて行った。