第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
カチャ。
あれ。また、ドアの音。
黒崎が、もう出て行ったのかな?何かを取りに来た感じじゃなかった。
ここに何しに来たんだろう?
立ち上がろうとして、慌てて動きを止める。
「こんなトコに呼び出して、何の用?俺、忙しいんだよね」
この声―――アーサーだ。
さっきドアが開いたのは、アーサーが入って来たからだったんだ。
黒崎が、ここに呼んだんだね。資料室の奥まで見に来たのは、誰もいないことを確かめに来たってことか。
つまり、誰にも聞かれたくない話をするってことだよね?
………私、絶対に見つかったらマズイよ!!
「話が違うじゃないか!」
黒崎の怒鳴り声に、思わずビクッと身体を震わせてしまう。
自分で自分の口をしっかり押さえて、声を出さないように努める。
「それって、教頭の件?」
「それ以外に何があるんだ!なんで、この俺が鍵係なんてやらされなきゃいけないんだ!!」
「そんなに肩書きって大事なワケ?」
「あたりまえだろう!そのためにどれだけの苦労をしてきたと思ってる!」
「お飾りの教頭になったってツマンナイでしょ?ちゃーんとイイポスト用意するから、もう少しおとなしく待っててほしいなー」
黒崎の剣幕に押されることなく、飄々とした態度のままなアーサー。