第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「俺は、気が短いんだ。いいか、いつまでもこんな待遇なら、こっちにも考えがある!」
バタンッ!
捨てゼリフを吐いて、黒崎は出て行ったようだ。
「あーあ。めんどくさいヤツと関わっちゃったなー」
残されたアーサーは、フウッと軽いため息をついて呟いた。
そして、少しの間合いを取ってから、静かに資料室を出て行った。
―――。
私は、まだ、そのままの姿勢で固まっている。
今のって、どういうこと?
そういえば、以前、誰かから電話が来て、黒崎を教頭にって話が出てた。
あの電話の相手は、アーサーだったの?
黒崎が、アーサーを脅してるってこと?
まさか、黒崎が不正の罪をリアリン学園長に、なすりつけたんじゃない?
アイツならやりかねないよね!?
リアリン学園長とジル教頭が失脚したからって、黒崎が教頭、ましてや学園長になれるわけじゃない。だから伯爵とアーサーが就任したんだろうし。
それを見越してゴマすってたってことかな?
でも、初日に鍵係任命の時、アーサーは黒崎のことを知らない感じだったけど?
………違う。知らないふりをしていたんだ。
あんなヤツと知り合いだなんて思われたくないもんね。