第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
~相談~
レオ達と別れ、職員室へと向かっていると、少し前を歩く二人の姿を見つけて、声をかける。
「クロード、ロベール先生!」
「マインか。こんなところで何をしてる?生徒会の集まりがあったんじゃないのか」
「私、生徒会の顧問解任されちゃったんだ」
「解任?」
クロードとロベール先生は、驚いた顔をする。
「アーサーが、生徒会の顧問やるんだって。生徒会役員も転入生と入れ替えられちゃったし」
「アイツか。来た早々、引っかき回してくれるな」
「俺達も準備室が自由に使えないのは不便だと話していたところだったよ」
「専科の先生達で抗議しないの?」
「そうしたいところだが。お前、あの顧問が、俺達の悲痛な叫びに耳を傾けると思うか?」
「思わないけど。でも、リアリン学園長のことだってこのままでいいわけないし」
「残念だけど、どうしようもない。俺たちは、トップが変わっても今までどおり教職に専念するしかないんだ」
ロベール先生は、悲しそうに目を伏せる。
「ロベールの言うとおりだよ。ああ、変わったことと言えばジルに何の権限もないってのが、見てて面白い」
「………」
二人共、意外と冷めてるんだな。
学園長とつきあいが長いだろうから、もっと気にかけてるのかと思ったけど。
それに、ジル教頭については、正直どう思ってるんだろう?まさか、本気で面白がってるわけじゃないよね?
ジル教頭にまで捜査の手が伸びるのも、本当に時間の問題なのかな―――。
「俺たちは、明日の授業の準備がある。さあて、黒崎センセイに鍵をもらいに行くとするか」
クロードとロベール先生の後に続き、私も職員室に入る。
やりきれない思いを胸に、日は暮れていった。