第29章 私立リアリン学園！11時間目～イケヴァン・アーサー～

「よかった。マイン先生は学園のマドンナだから、誰かのものになってほしくないんだよね」


「マドンナって………大げさだよ」


「けど、俺のものになってくれたら、言うことなしなんだけどな」


更にそう続けて、イタズラっぽくウインクしてみせるレオ。



「レオってば！」



こういう冗談、サラッと言っちゃうんだもんなあ。その度にドキドキしちゃうこっちの身にもなってほしい。



「ねえ、そういえば、さっき何を言いかけたの？」


「え、さっきって？」


「ほら、俺が学園長の不正について他に知ってる？って聞いたら、何か言いかけたでしょ」


「あ」


そうだ。話そうとしていたら、アーサーが入ってきて中断してしまったんだ。レオ、ちゃんと覚えてたんだね。

けれど―――。



「あれ、なんだったかな。忘れちゃった」



そう言って、はぐらかす。

あの話は、しないことにしよう―――そう決めた。



考えが変わったのは、さっきまでの生徒会室でのやり取りで、気づいたことがあったからだ。

生徒会総入れ替えなんて、理不尽な事を、突然、言い出された。

ああいう時、正義感の強いカインなら、絶対に言い返すだろうと思っていた。

それは、アルバートとレオも同じだ。だけど、彼らは黙って立ち去った。

アーサーの高圧的な態度に、何を言っても無駄と悟ったからなのだろう。

私だってどうにもならないこの状況に、一生徒である彼らが逆らったって、いいことはない。

リアリン学園長が連れて行かれたこと、潔白だと言ったこと………そんな話をして、余計な心配をかけちゃいけない。



学園のゴタゴタに、生徒を巻き込むわけにはいかないよね。