第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「レイヴィスか」
「お久しぶりです、ゼノ様」
アーサーの背後に立っていた、レイヴィスと呼ばれた彼は、ゼノ様に軽く頭を下げる。
「どうしてお前が、ここにいる?」
「特待生試験を受けました。一流の学園で学べるいい機会だと思って」
「お前がいると心強いな」
「ゼノ様には、恩があります。けど、俺は、有益な方につく主義なので」
表情を変えることなく、そう言い切るレイヴィス。
険しい顔つきでアーサーをチラリと見やって、またレイヴィスに視線を戻すゼノ様。
「そうか。それなら仕方ない」
二人の静かな会話に、皆が聞き入っていた。
あのレイヴィスって人と、ゼノ様は知り合いなんだね。有益な方につくって………つまり、アーサー側だから、ゼノ様の意見には従えないって宣言したんだよね。
そんなこと堂々と言っちゃうなんて、相当な合理主義者だよね。
あれ?そういえば、彼、どこかで見たことがあるような気がする。気のせいかな?
「さ、じゃあ、他の者は退場だよ~お疲れ~」
パンパンと手を叩くアーサー。
「お先に失礼します」
と、ミシェルが、一番先に立ち上がった。
「君は………と。副会長のミシェル=アードラーだよね?そうだなあ。ヤロウばっかじゃ、ツマンナイからな。麗しきお姫様にも残ってもらおうカナ」
「私は、辞退します」
即答するミシェル。
「強気だね。そーゆうの、嫌いじゃないよ。けど、残念ながら、君には決定権ナイんだなー。はい、では、副会長も残留ってコトで決まり~」
アーサーの楽し気な様子とは対照的に、ミシェルはギュッと唇を噛みしめ、立ち尽くしている。