第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
しばらく並んで練習を見守っていると―――。
「つきあってるの?」
唐突に、静かな声で、そう聞かれて。
「は?何?」
「だから、ルイ=ハワードと」
「だ、だ、誰が!?」
「教師と生徒って、見つかったらマズイんだよね?よくありがちな恋愛パターンなのにね」
「ちょっと!つきあってなんかないから!」
「音楽会は、彼のために行ったんだよね?」
「そうだけどっ。生徒の演奏を聴きに行っちゃいけないの?それだけでつきあってることになるわけ?」
「ふーん?でも、俺との食事を断ったのは、彼が理由だよね?」
「それは………帰るとこが一緒だから、送ってもらうつもりで」
「俺だって送って行くよ?ま、帰すつもりはナイけどね」
………ルイにも同じようなことを言われた。
『君を連れて帰ってもいい?』
もちろんお持ち帰りされてはいないけど、頷いていたらどうなっていたんだろうって、あれから何度も考えを巡らせていた。
それとも、あの日、ルイと約束していなかったら?誘われるままに食事に行っていたら?
アーサーと一夜を共にしていたかも―――?
そんな、今更どうしようもない選択に迷っていると。
アーサーの深くて濃い青い瞳に、しっかりと捉えられてしまう。