第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
~合唱練習~
昼食を終えて、再び午後の授業へと向かう。
5時間目と6時間目は、二時間続きで2年1組の合唱練習だ。
学園には立派なホールがあって、そこで本番さながらの練習。
カインの指揮の元、順調に進んでいる。
ルイのピアノが安定しているからか、皆は伸びやかに歌っている。
あ、いつもアルトが半音下がる箇所も、今日は、ちゃんと歌えてる―――。
さっきからずっと、一番後ろの隅でステージを眺めているだけ。もう教える必要は、ないみたいだしね。
私が指導しているなかでは、2年1組がダントツに上手い。去年、1年生だったのに、優勝したって聞いてる。
綺麗な音色。
………去年もルイが、ピアノを弾いたのかな。
優雅な仕草で鍵盤を叩くルイは、息を飲むほどの美しさで―――。
「上手だね」
いきなり、すぐそばから声がして、慌てる。
「ア、アーサー!?」
「ピアノ弾いてるの、ルイ=ハワードだよね?音楽会に出てたね。やっぱり、彼、プロ級だな」
腕組みをしながらステージを見つめているアーサーは、いつになく真剣な瞳をしている。音楽会でも辛口ながらも批評していたっけ。音楽が専門なのかな。
聞こうとしたけど、ステージ上の彼らも練習に集中しているし、静かにしていた方がいいかなと思い直す。