第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
「活動資金や維持費が莫大だからね。地位や名誉のある有力貴族に頼って運営されてるのは事実だ。俺達学生には、どうすることもできない部分だし。学生が主体って名目なのにね」
やっぱりそうか。
あの会場は、きっと有名人やお金持ちで埋め尽くされていたのだろう。
庶民の私には、異質と感じられるほどに―――。
「けれど、演奏する学生は皆、実力で選ばれてる。本当に才能ある者が援助や指導を受けられるようになってほしいんだ。それは、金持ちの道楽の力でもなんでも構わない。結局ものを言うのは、お金だから。俺たちは、それを利用するしかない………失望した?」
「ううん、そんなこと………」
なんて答えていいかわからず、口ごもる。
学生同士ワイワイ集まって演奏をするイメージを持っていた私にとって、あまりにも想像と違っていたので驚いた。
いや、『ナントリーホール=豪華』の図式が出来上がっていたから、それなりの心構えは、あった。
けど、それをはるかに上回る豪華絢爛な音楽会だった。
学園に来てから度々感じる『身分』について、どうしても考えてしまう。
人は皆、平等だ、と言うつもりはない。
それなりの伝統や歴史があって、築かれた地位や身分が存在する世の中だ。
だからといって、それがすべてではない。自分の力でなんとでもなるのが、今のいいところだ。