第28章 私立リアリン学園!10時間目~ルイ&イケヴァン・アーサー~
「は!?それって、お持ち帰りされたことあるかって聞いてる?な、ないないっ!そんな経験ないからっ。私ね、アルコールの回りが遅いから、すぐには酔わないんだ。だから、ちゃんとまっすぐ帰れるし、記憶失くすくらい飲まないし、それに、それに………」
慌てまくっている私を、可笑しそうに見ているルイ。
「も、もしかして、からかってるっ!?」
「ごめん。けど、よかった。安心した」
「え、安心って………」
それって、お持ち帰りされた経験がないって聞いて、安心してるってことだよね!?
………心臓がバクバクいいだして、どうしようもないっ。
「ね、失敗って、どういうコト?」
「ええ~っとね………二日酔いが、ヒドイってコト。アルコールの分解速度が人より遅いんだと思うのね。だから、回復するのに時間がかかるの。分かっちゃいるけど、いつもついつい飲みすぎちゃう。教師なのに学習能力ないんだよねえ」
「ははっ」
ルイが、声を上げて笑う。
そんなルイに驚く。
なんか、なんだろう。表情が柔らかいっていうか………ルイって、感情が読めないから、いつも戸惑うんだよね。
でも、こうしてじっくり話すと、少しずつ分かってくる。
『氷の王子様』って初めに聞いた時は、納得してたけど、今はそんなことまったく思わない。
自分の感情に不器用なだけで、本当はすごく温かくて、優しい。
いろんな表情を見せるルイにドキドキしながら、どこか心地よさを感じる。
ルイって不思議だ―――。