第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
~救済~
ライラック通り二番地。
中心部から少し離れたせいか、人通りが少ない。
さっきまでの街並みとさほど変わらないけれど、こちらの方が高級住宅地っぽく感じる。
家の大きさも庭の広さも、ひとまわり大きいようだ。
その中の一つに、青い屋根の洋館が佇んでいる。
試しに呼び鈴を鳴らしてみる。
応答は、ない。
トントン。
小さくノックをしてみる。
やっぱり、返事はない。
ガチャ。
ドアノブを回してみる。
当たり前だけど、鍵がかかっている。
ここは、シドの隠れ家。
さっき、カフェの店主に教えてもらった。
はぁ………。
途方に暮れて、大きな深いため息をつく。
もう他に、どこを探せばいいのだろう。
スマホを取り出し、何度目かわからない、シドの番号を押してみる。
トゥルルル、トゥルルル………。
お願いだから、せめて電話に出て―――!
何度目かの虚しいコール音の後、諦めて歩き出す。
………?
ずいぶん先の角の隅に、座り込んでいる人影を見つけた。
あの人、あんな所で何してるんだろう………。
まさかと思いながら、恐る恐る近づいていく。
………!!!
「シド!!」