第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
その姿をはっきりとシドと認識すると、急いで駆け寄って行く。
かろうじて壁に背を預けて座ってはいるものの、頭はグッタリと垂れ下がっている。
「シド、どうしたの、大丈っ………怪我してるの!?」
近づいて、初めて気づいた。
上着の奥から覗くシャツが、濃い赤に染まっている。
かなりの出血量だ。
カクカクと震えている自分に気づく。
「どうして………どこ、怪我してるの」
シドの顔を下から覗き込む。
うっすらと目を開けるシド。
「マイン、か」
掠れる声で、小さく私の名前を呟いた。
「………っ、き、救急車………今、救急車呼ぶね」
スマホを取り出そうとすると、グッと手首を掴まれた。
「病院は行かねえ」
「は?何言ってんのよ?ワルだから?病院は、マズイってコト?」
「………そういうコトだ」
「何バカ言ってんのよ!」
私は構わず番号を押そうとする。
すると、シドは、片手を地面について立ち上がろうとした―――。
ドサッ!
体勢を崩したシドと支えようとした私は、同時にその場にもつれるように倒れ込んでしまった。
「シドッ」
覆いかぶさっているシドを見上げると、その目は固く閉ざされている。
「え、ちょっと、シド、目を開けて」
気が動転しそうだったけれど、まつ毛がかすかに動いているのを見て、死んではいないと確証できた。