第26章 私立リアリン学園!9時間目~シド~
ガタンッ!
我慢できずに、立ち上がる。
どこに怒りをぶつけていいのか、わからない―――っ。
私は、自分の鞄だけを手にして、店を出た。
フウ――ッ。
外に出ると、大きく息を吐き出す。
頭が混乱してるのを必死でなんとかしようして、もう一度、息をつく。
落ち着け、私。
シドを責めるのは、違うよね。
となると、ジル教頭か。
あ。
でも、さっき、『犯人を追及するな』って約束させられたばかり。
『お前の足すくおうとしてるヤツがいる。だから、先手を打った』って、そう言ったっけ。
私の足をすくおうとしてるヤツが誰かは、わからないけど。
少なくとも、ジル教頭は、味方と思っていいのかな。
「おい」
すぐに後ろから、シドに呼び止められる。
「これ持ってけ」
そうか、服。
わざと置いてきたんだった。
服を買ってもらう義理なんかないから。
「いらない。帰る」
―――けど。
ジル教頭の側なら、シドも私の味方でいいのかな?
息をついて、クルリと声の方を向くと―――。
ブンッと大きな音を立てて、紙袋が宙を舞う。
立ち尽くしている私に目がけて、投げつけてきたのだ。
ドサッ。
受け取るしかなくて、両手で紙袋を抱える。
「俺には必要ねえ。いらなきゃ捨てろ」
それだけ言うと、シドは反対方向に向かって歩きだした。