第5章 私立リアリン学園!序章
「とりあえずってやつか。いつまでも、そんなとこ、つっ立ってねえで座って待ってろ」
「あ、はい」
言われて、私は、おとなしく手近なテーブル席に座る。
椅子に腰掛けると、改めてバーテンダーに向き直る。
さっきまで磨いていたグラスをしまうと、ビールグラスを手にする彼。
整った顔立ちに琥珀色の瞳が印象的だ。
………外国人かな。
こうして見てると、イケメンバーテンダーってとこ。
―――で、それで。
なんで、あんな口調なの?
普通は、『いらっしゃいませ』だよね?
『お一人様ですか?』だよね?
ましてや、『つっ立ってねえで座って待ってろ』なんて、客に向かって言う言葉?
常連さんには、いつもあんな話し方なのかな。
………ていうか、私、常連でも、なんでもないし!
今日、初めてここに来たばかりで。
この人とも多分、絶対、初対面。
でも、なんだか不思議。
あの人の持つ雰囲気というか。
よくわからないけど、なぜか惹きつけられる。
目が離せないと思うのは、どうしてだろう―――。