第29章 キミとおうちで〇〇〇デート【おそ松/デート松】
俺は優しく愛菜を引き寄せた。さっきとは違い、素直に応じる彼女。
よし。時は満ちた。あとはもうベッドに連れて行くだけ。
「愛菜……俺……」
あとはベッドに……。
あとはベッドに……。
とにかくベッドに……。
今すぐベッドに……。
「おそ松くん?」
愛菜が不思議そうに顔を上げた。
「…………」
「どうしたの?」
「……えーっと……その……」
あれ!? なんで俺、ここに来て緊張してんの!? さっき平気で愛菜をベッドに連れて行こうとしてたじゃん! どうして今さら身体が固まるんだよ! ほら、ベッドに移動するだけだって!!
「おそ松くん? 体調悪いの?」
愛菜が俺の顔を見回す。
「ち、違う……」
「でも、汗いっぱい出てるけど。もしかして、熱ある?」
額に手を置かれる。
心臓が口から飛び出そう。俺、イザとなったら全然だめじゃん。花火の日の勢いはどこに行った?
「愛菜……あのさ……」
少し身体をずらした瞬間、ポケットから箱が落ちた。
あっ! やべっ!
どこまでもタイミング悪い。
愛菜は俺から離れ、静かにゴムの箱を拾う。
「おそ松くん。一気に全部こなそうとしなくても大丈夫だよ」
「へ……」
「緊張してる? 大丈夫。私もだよ。とりあえず、座ろ?」
「俺が……緊張してるって……分かんの……?」
愛菜が笑いながら優しく手を引っ張った。
「分かるよ。おそ松くんの彼女だもん」
「っ……!」
愛菜に連れられて、ベッドに腰掛けた。愛菜も隣に座って、枕元に俺の落とした箱を置く。