第29章 キミとおうちで〇〇〇デート【おそ松/デート松】
全部?
棚の前に来た私は振り向いた。
「全部は無理だよ。せめてジャンル指定してくれないと」
「ジャンル!? そんなん指定できるの!? え、えーっと、じゃあ、とりあえずイチャラブな感じで……」
イチャラブかぁ……。
悩んだ私は、棚からDVDを2枚取り出した。
「じゃあ、『オソマライド』と『マツロボ・エッジ』どっちにする?」
どちらもヒットした恋愛映画だ。
「はっ?」
おそ松くんがポカンと口を開けた。
「ん?」
私も首を傾げる。
「え……見せてくれるってDVDの話……?」
「うん、今日はまったりDVD見ようって言ってたよね?」
途端におそ松くんがゆらりと立ち上がった。
「愛菜、それなんだけどさ……」
ゆっくりと私に向かってくる。
「おそ松くん!? どうしたの?」
目の前に来たおそ松くんが私の腕を取った。
「愛菜、今日俺たちDVD見る予定だったよな……」
「うん」
だから、さっきからそう言ってるじゃん。
「でもな……それは真っ赤なウソなんだよ……」
「ウソ?」
おそ松くんは私の手からDVDを奪うと、さっさと棚に返した。
「実は俺、DVDなんて見る気、さらさらないんだ……。ぶっちゃけ今日はセックスするために来たっ!」
「え……」
はっきり言っちゃうの!?
言い終わってから、どんどん顔が赤くなっていくおそ松くん。
「だ、だめ……? いや、だめって言われても、俺、もう今日はセックスするって決めてきたからっ」
超絶強引!
「でも、おそ松くん……」
「な? 今日はいいだろ? 室内だし。頼む。ヤラせて。な? な?」
私の腕を離すどころか強く掴む彼。