• テキストサイズ

《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)

第27章 トド松END〜警部補とわたし〜(※)


私たちの姿に気づくと、二人ともすぐに立ち上がり会釈してくれた。

「上田課長、お待たせしてすみません。橋本警部補が到着いたしました」

「お疲れさまです。橋本です」

敬礼をすると、課長は慌てて手を振った。
「いやいや、こんな場ではいらないよ」

息子さんが隣でお辞儀をする。
改めて見ると、聡明そうな好青年だ。

明らかに立場が上なのに、課長も息子さんも横柄さは一切なかった。
一つ一つの所作や言葉に人柄のよさが滲み出ている。

「聞いていますよ。あのチョロ松警部のチームの方ですね」
席に座ると、課長がにこやかに言った。

「はい。去年の七月に配属になりました」

『あのチョロ松警部』の『あの』は、いい意味なんだろうなと雰囲気から感じる。

「まだ二年目ですが、橋本警部補は非常に優秀な捜査官ですよ」
あつしさんが褒めてくれると気恥ずかしい。

「ああ……。君のところはいろいろあって大変だったね」

「はい……」
私は曖昧に笑った。


上田課長が言っているのは、もちろんトド松先輩の一連の事件のことだ。

最終的に『被害者が傷一つなく生き返り、容疑者が死亡する』という不可解な形で幕を閉じたあの事件。

幹部のあいだでどういう解釈がなされ、どう処理されたのか、所轄の私は知るよしもない。

ただ、世間でも大騒ぎになり、警察の信用問題にまで発展したこの事件は警察史に残る事件となった。
知らない警察官はいないぐらいに。


/ 724ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp